【専門医解説】修正術 11年前のL型シリコンプロテーゼ:傾いたシリコン 鼻背と鼻先にシリコンが触れる

患者様の経緯とご希望

11年前に

他院でL型シリコンプロテーゼを

挿入しました。

患者様が

気になっていた点は以下です。

・外見上、傾いたシリコンのかたちが判る

・シリコンが動く

・鼻背と鼻尖の皮膚が薄くなっており、

 特に鼻尖左側にシリコンが突出し、 

 皮膚が透けてきた

修正におけるご希望

・以上3点を改善する

・現状のシリコンより薄いものと交換

鼻尖の高さは維持したい

鼻先はまるくし、やさしい印象にする

修正手術の内容

・皮下の浅い層に入っていた

 L型シリコン(鼻根部厚さ3.3㎜ 幅8㎜)を摘出し、

 新たなI型シリコン(鼻根部厚さ1.8㎜ 幅9㎜)は

 鼻骨々膜下に挿入

・ L型シリコンで圧排変形した

 下外側鼻軟骨の高さを形成するため、

 両側耳甲介軟骨で鼻中隔延長を行った

・左下外側鼻軟骨の陥凹変形が著しかったので

 同部位に細片耳軟骨移植

・薄くなった鼻背~鼻尖部に対して

 真皮脂肪移植

*L型シリコンプロテーゼは

  鼻尖部の軟骨(下外側鼻軟骨)を圧排し、 

  摘出すると鼻尖が低く、平坦に

  なることが多いです。

  そのため鼻中隔延長の手法で

  鼻尖を形成することをお勧めします

術前術後の比較画像

↓術前 正面

顔のクローズアップ画像、肌の質感が見える。

↓術後3か月

女性の顔のクローズアップ。表情は中立的で、肌は滑らかに見えます。

↓術前 斜め左前から

顔の左側を向いている女性のクローズアップ。シンプルな背景で、はっきりした肌の質感が見える。

↓術後3か月

女性の顔のクローズアップ。肌は滑らかで艶やか。表情は穏やか。

↓術前 斜め右前から

顔のクローズアップ画像、肌は滑らかで健康的に見える

↓術後3か月

横顔を向いている女性の顔。肌は滑らかで、自然な輝きがある。背景は淡い色合い。

↓術前 側面

女性の顔の横顔、滑らかな肌と整った鼻のラインが特徴。

↓術後3か月

女性の横顔。肌の質感がはっきりと見える。背景は無地の色。

↓術後3か月 右耳甲介 軟骨採取部

耳の詳細なクローズアップ画像。耳の構造の特定の部分に赤い矢印が示されています。

↓術後3か月 左耳甲介 軟骨採取部

耳の近くの肌の画像で、赤い矢印がいくつかのポイントを指しています。

(赤矢印に囲まれた部位の軟骨を

  採取しました)

鼻中隔延長のため

耳甲介軟骨は長く採取する必要があります。

そのため耳輪部の切開には注意が必要で、

採取後の皮膚拘縮を予防するため

術後管理も大切です。

↓術後3か月 右耳介後方 切開部

耳の後ろ部分に青い矢印で示された皮膚のしわ部分の画像

↓術後3か月 左耳介後方 切開部

耳の後ろに青い矢印が付いた写真。

(青矢印が切開線でした)

軟骨採取のため

耳甲介軟骨の直上を切開する

クリニックがありますが、

当院はキズが目立たないように

耳介-後頚部境界を

切開します。

手術料金

L型シリコンプロテーゼ摘出術 110,000円(税込)

I型シリコンプロテーゼ挿入術 275,000円(税込)

耳甲介軟骨による鼻中隔延長術

    (鼻尖部細片軟骨移植含む) 1,210,000円(税込)

真皮脂肪移植術 330,000円(税込)

合計1,925,000円(税込)

*モニター料金

*2021年の料金です。最新料金をご確認ください。

美容手術のリスクに関するリスト。出血、血腫、出血斑、感染、術後の腫れ、左右差、傷あと、疲労について説明。

医療法人社団S&T医会

銀座すみれの花クリニック
院長 横山才也

日本美容外科学会(JSAPS)専門医

日本形成外科学会専門医

【専門医解説】鼻の手術後の喫煙と副流煙について

銀座すみれの花クリニックの院長横山才也です。

鼻の手術後の喫煙と副流煙は、手術結果に悪影響を及ぼす可能性があります。以下にその理由と、手術後の注意点についてご説明いたします。

臨床的に喫煙者と副流煙の影響を受ける方は、皮膚移植の生着率が低く、皮弁形成においては末梢の壊死の可能性が高くなり、また、指の切断の血管吻合手術においては指の生存率が低い、以上はすでにわかっていることです。従って、これらの臨床経験から以下のことが考えられます。但し、論文などで報告されているわけではないので、これらについては鼻の手術をこれまで多くやってきた臨床経験による推察です。

またタバコが、末梢の細動脈の血管を収縮し、血流が低下することは、広島大学病院国際リンパ浮腫治療センターの光嶋勲教授がすでに学会で ニコチンを含む タバコによってラットの細動脈が収縮する 動画で報告しています。

喫煙が手術に与える影響

  • 血流の低下: タバコに含まれるニコチンは真皮内の細動脈を収縮させ、血流を低下させます。これは、手術部位への血液供給を妨げ、組織の回復を遅らせる原因となります。
  • 移植組織への影響: 特に、真皮脂肪移植や細片耳軟骨移植を行った場合、血流の低下は移植組織の生着を妨げ、萎縮を引き起こす可能性があります。
    • 真皮脂肪移植片: 移植後約1週間で血管が新生し血流が供給されますが、喫煙により移植を受ける側の真皮内細動脈の血流が低下すると、移植組織への栄養供給が不足し、生着しにくくなります。
    • 軟骨移植片: 移植軟骨には顕微鏡的に周囲組織からの血管侵入(新生血管)は早期には認められないので、血漿によって術後しばらくは生存している可能性があります。したがって喫煙や副流煙によって移植片周囲の血流が低下し、軟骨組織への栄養供給を妨げ、生着を困難にし、萎縮を引き起こす可能性があります。

副流煙の影響

タバコのフィルターがない副流煙には、直接喫煙するよりも3.7〜3.8倍多くのニコチンが含まれています。そのため、手術後の患者様が副流煙にさらされることも、喫煙者以上に手術結果に悪影響を及ぼす可能性があります。

注意点

  • 手術前: 手術を受ける3〜4ヶ月前から禁煙期間を設けることが望ましいと思います。しかし、現実的に難しいという声も多く、当院では少なくとも8週間(2ヶ月)の禁煙を指導しています。担当医の指示に従ってください。
  • 手術後:
    • 術後4ヶ月間: 喫煙は絶対に避け、副流煙にもさらされないようにしてください。真皮脂肪移植の場合、浮腫が軽減し、血流が安定するまでに3〜4ヶ月かかると考えられます。
    • 術後4ヶ月以降: 可能であれば、真皮脂肪移植や細片耳軟骨移植を受けた方は、喫煙と副流煙を避けることをお勧めします。いつまで、という期限はありません。
  • その他: 喫煙歴が長い方や、手術直前まで喫煙していた方は、手術侵襲で真皮内の細動脈が攣縮しやすい傾向にあります。手術前に医師に必ず喫煙状況をお伝えください。

まとめ

手術後の良好な経過のためには、喫煙と副流煙を避けることが非常に重要です。

以上は、私が大学院外科系形成外科学講座に在籍していた頃のラット実験結果に基づくところも含まれています。移植片への新生血管は、移植手術を行ってから平均144時間と確認されました。その実験に基づいて移植を考えると健康体であれば移植片に血流が灌流するのは約6日です。極めて細い血管であり、脆弱なため外力によって新生血管が破綻することもあります。また新生血管を認める移植6日目は安定した血液供給状態とは言えません。新生血管が完成され、組織片の灌流が安定化するのは少なくとも2週間はかかります。
ただし移植片を受ける側の皮膚が薄い、瘢痕が著しい場合などは術後6〜7日目に新生血管が出現するかは未知です。移植片への新生血管が術後10日目以降に出現するようなら、移植片は阻血によって生着は困難です。
特に真皮脂肪組織片は、血流の良い部位に移植する必要があります。シンプルに移植を行うのでなく(単純に移植片をのせるといった考え方は間違っています)、執刀医が術前・術後の指導を行い、移植を受ける側の血流を考えて手術を行うことが大切です。

私が患者さんに日頃お話する内容は私が関わった実験に基づいています。ネットで「私は吸っても大丈夫だった」という方がいるかもしれません。それは個人差があることですし本当かどうかもわかりません。医師の指導に従ってください。

2025年3月12日

医療法人社団S&T医会

銀座すみれの花クリニック

院長 横山才也

形成外科学会認定専門医/JSAPS日本美容外科学会専門医

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